子どもの教育費は、婚姻費用・養育費の相談で争いになりやすい問題です。私立学校、大学、塾、習い事などの費用は、「子どものために支出した費用だから当然に全額を相手に請求できる」というものではありません。
算定表による標準額を確認したうえで、私学費、大学費用、塾・習い事等について、どの部分をどのように分担するかを検討します。
1 まず婚姻費用・養育費の標準額を確認する
家庭裁判所の実務では、父母の収入、子どもの人数・年齢などをもとに標準算定方式・算定表が用いられています。教育費の問題も、この標準額と切り離して考えるのではなく、まず通常の婚姻費用・養育費がどの程度になるかを確認します。
2 私立学校の学費
私立学校の授業料等については、父母がその教育方針をどのように選択してきたのか、入学についてどのような認識があったのか、双方の収入、実際の費用などを確認します。
一方の親が私学進学に積極的でなかったという事情があっても、それだけで一切負担しないと決まるわけではありません。反対に、実費の全額又は半額が当然に上乗せされるわけでもありません。
3 大学進学の費用
大学の入学金・授業料等は金額が大きく、進学時期に改めて争いになることがあります。これまでの家庭の教育方針、子どもの進路、父母の学歴・収入・資力、既に行われている養育費の取決めなどを整理します。
高校卒業時点で養育費が当然に終了するとは限らず、養育費の終期と大学費用の扱いを分けて具体的に決めることもあります。
4 塾・習い事・部活動費
塾、スポーツ、音楽その他の習い事には、月謝だけでなく、交通費、被服費、用品費、遠征費などさまざまな費用が含まれることがあります。
「習い事にかかった総額」をそのまま特別費として分担するのではなく、通常の生活費として考える部分、特別な支出として検討する部分、将来発生する見込額を分けて整理することが重要です。
5 離婚時に教育費をどう決めるか
離婚協議書や調停条項では、毎月の養育費とは別に、進学時の入学金・授業料等について「事前に協議する」と定めることがあります。ただし、協議条項だけでは後の負担額が決まらず、再び争いになることもあります。
進学が具体化している場合には、対象となる費用、負担割合、支払時期などをできる限り具体的にすることを検討します。
6 進学など事情が変わった場合
養育費を決めた後でも、予定していなかった進学、父母の収入の大きな変動など事情が変わった場合には、養育費の増額・減額を検討することがあります。
- 学校・大学等の納付金資料
- 入学金・授業料・施設費等の内訳
- 奨学金・授業料減免等の有無
- 塾・習い事等の実際の支払資料
- 父母双方の収入資料
- 従前の教育方針が分かる事情
学校・進学・習い事の状況と双方の収入を確認し、婚姻費用・養育費との関係を整理します。