離婚で自宅が問題になるときは、「誰が住むか」「誰が所有するか」「住宅ローンを誰が負担するか」を分けて考える必要があります。自宅の価値だけを見ても、解決方法は決まりません。
夫婦間で自宅を妻が取得すると合意しても、それだけで金融機関とのローン契約上の債務者が変わるわけではありません。
1 最初に確認する4つの数字
- 現在の不動産価値
- 住宅ローン残高
- 購入時の価格
- 購入時の頭金・諸費用の出所
不動産会社の査定額が複数ある場合には、その幅も確認します。固定資産評価額と市場で売却できる価格は同じではありません。
2 オーバーローンの場合
現在の不動産価値より住宅ローン残高の方が多い状態を、一般にオーバーローンと呼びます。この場合、自宅単体では正味のプラス価値がないことになります。
もっとも、「ローンが2000万円残っているから夫婦が1000万円ずつ負担する」と単純に処理するものではありません。住宅ローンの契約関係、他の共有財産、購入資金、別居後の返済状況などを分けて整理します。
3 頭金に婚姻前の預金や親からの援助を使った場合
購入時に一方の婚姻前預金や、その親からの贈与を頭金として投入していることがあります。この場合には、その資金が特有財産としてどのように評価されるかが問題になります。
「頭金を500万円出したから、現在の不動産から必ず500万円を先に戻す」と機械的に決まるわけではありません。購入時の出資、現在価値、ローン返済、婚姻中の財産形成との関係を資料から確認します。
4 自宅を売却する場合
売却代金から住宅ローン、仲介手数料その他の売却費用を支払った後に残る金額を確認します。売却すれば財産分与の計算は比較的明確になりますが、子どもの学校、転居時期、売却までのローン負担など生活上の問題もあります。
5 一方が自宅を取得する場合
一方が自宅を取得し、他方へ代償金を支払う方法があります。この場合には、不動産価値とローン残高だけでなく、ローンを今後誰が返済するのか、金融機関が債務者変更や借換えを認めるのかを確認します。
夫名義のローンを残したまま妻が所有権を取得する、といった形は、夫婦間では合意できても金融機関との関係や将来の不払いリスクが残ります。
6 名義だけ変えればよいわけではありません
所有権移転登記、住宅ローン、抵当権、保証関係はそれぞれ別の法律関係です。離婚協議書で「妻がローンを払う」と定めても、金融機関が夫を債務者としている限り、金融機関に対する夫の債務が当然になくなるわけではありません。
7 別居中の住宅ローンと婚姻費用
一方が住宅ローンを支払い、他方と子どもがその住宅に居住している場合には、婚姻費用との調整が問題になることがあります。ただし、住宅ローンには居住費だけでなく財産形成・債務返済の側面もあるため、支払額をそのまま婚姻費用から控除するという単純な問題ではありません。
- 不動産登記事項証明書
- 売買契約書
- 住宅ローン残高証明書
- 返済予定表
- 購入時の頭金が分かる資料
- 不動産会社の査定書
所有権・住宅ローン・財産分与・別居中の生活費を一体として整理します。